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会社の応接室が寺院建築?

うちの会社の応接室です。この日は若いお客さんがいらしたので、天井の作りを説明しているところです。

天井が変な角度で折れ曲がってるでしょ? これはね、日本に古くからある寺院建築の「八角堂」を応用したものです。古い例では法隆寺の夢殿。あれなんか奈良時代の建立だから、1300年近くの長い歴史をもつ由緒ある建築様式ですよ。

完全に八角形にしてしまうと設計室とつながる部分がなくなって不便だから、この写真でいうと向こう側の半分を八角形に、手前側を普通の四角形にしました。だから実際には不等分な六角堂、いや不等分な六角応接室ですね。ちなみに、三条で一番大きいお寺「本成寺」の千仏堂は正六角形の六角堂です。

現代の合理主義からすれば、「なんでわざわざそんな面倒なことを」って言われるかもしれません。でもね、「奈良時代からの歴史を持つ独特の建築様式を私も作れます」っていうのは、大工としてはものすごくやりがいのある事なんですよ。普通の大工じゃこんなもの作れないからね。

この日の若いお客さんは、若い人にしては珍しいけど、この天井にけっこう興味持ってくれました。そうなると私も思わず説明の言葉に熱が入りますね。もちろん、お客さんの家の玄関を八角形にしようっていうんじゃありません。「こういうものも作れる熟練の技を使って、地震でもびくともしない安全な家を建てますよ」っていうことです。
今、建築のデザインというと「外壁を何色にする」とか「外壁のこの部分をどんな模様にする」とか「どんな材質にする」とか、そういう事が主流みたいです。言い換えれば、形が同じ四角い箱の表面に、ただ色や模様を変えたり材質を変えたりして違いを出してるというようなね。

でもね、最初に例を挙げた法隆寺の夢殿。長年の雨風で色なんか全部剥げ落ちてしまっているけど、あれを見飽きるっていう人はいないでしょ? つまり、色や模様のデザインじゃなくて「形のデザイン」なんです。1300年見続けても飽きない魅力があの形に宿ってるっていう事です。

もちろん、家を建てる人の予算の都合もあるから、どうしても全体の形が四角い箱みたいになるのは分かります。それでもね、例えば玄関とかリビングとか、「ここだけは」っていう所に一つでも「形のデザイン」をあしらってみると、いつまでも見飽きない世界に一つだけのマイホームになるんですよね。

うちの会社は完全自由設計です。いつまでも見飽きないあなたのマイホーム作りのために、熟練の技がお役に立てますよ。
(有)大桃工務店 代表取締役 棟梁 大桃実