そんなに安く建てて大丈夫?
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目を疑う安さ
私はね、子供のころから父親の大工仕事を手伝いながら修行して、棟梁として50年もこの地域で黙々と家づくりを続けてきたんです。それを通して「まともな家を建てるには2千万くらいはかかるもんだ」とずっと信じて仕事してきました。どんな小さめの平屋だって千6百万とかね。
それがです、ここ20年くらいでしょうかね、いわゆる「ローコスト住宅」っていうのがすごく話題です。それはもう衝撃的な安さですよ。「本体価格1千万円から」なんていうのはまだおとなしいほうで、「8百ン十万」とか「7百ン十万」、すごいのは「平屋で5百万以下」なんていう広告も飛び交っています。
こんなクチコミが
でもね、何事も行き過ぎは無理がありますよ。「約束と違うじゃないか!」と怒った施主に裁判を起こされたりとかね。
で、私もちょっと知り合いの力を借りて、ローコスト住宅を建てた人たちの悪いクチコミをインターネットで調べてもらったんです。もちろん、こういうのには意図的な中傷とかも含まれていると思いますけど。
「工事が雑であちこち隙間だらけ」
「まだ建てて数年なのに廊下がミシミシいう」
「頼んでいたのとは別のものを取り付けられた」
「この金額で大丈夫、と言われていたのに、工事が終わってから何百万も高く請求された」
「部屋にコンセントが1ヶ所しかないなど、標準仕様ではまともに住めないくらい不便」
「ちょっと何かを追加するたびにすごい料金を請求された」
「壁や床が薄いのか、2階や隣の部屋の音がうるさい」
「サッシの隙間から風が入りまくり」
「断熱材が隙間だらけ」
「夏は暑く冬は寒い。冷暖房のききも悪い」
「調子の悪いところが出て連絡しても、全然来てくれない」
結局は高くつく
誤解しないでほしいんですが、ローコスト住宅メーカーも、ちゃんと誠意を持って仕事する所も多いですよ。その証拠に、いいクチコミもたくさんありますからね。
ただね、そんなに安くするためには、誠意とかの企業努力だけじゃどうにもならないデメリットがあるわけですよ。「長い目で見ると結局は高くつく」ということです。
例えばキッチン、バスユニット、トイレ、洗面台といった設備。彼らが標準仕様で用意するのは最低価格のものです。だから、すぐ傷んだり不具合が出たりすることもあります。そのたびに修理代がかかりますし、ちゃんとした品質のものに交換すればもっとお金がかかります。
外壁や屋根、内装などもそうです。最低価格のものはやっぱりそれなりの耐久性ですから、けっこう頻繁に手入れしないといけなくなります。
断熱性能や気密性能をケチると、そのぶん冷暖房費がかかります。たとえ暑さ寒さは多少我慢するとしても、それでも長い目で見れば冷暖房費でかえって割高になるんでは、何のためのローコストなのか分からないですよね。
心のコスト
これらは物やエネルギーのコストですが、じつはもっともっと大切なコストがあります。「心のコスト」です。
説明しましょう。納得してない家を建ててしまうと、毎朝毎朝目覚めて我が家を見るたびにこう思うわけです。「ああ、私はバカだった」「ああ、私は騙された」ってね。それが1年365日、来る日も来る日も繰り返されます。それが10年20年と続くわけです。
どうですか?「暑さ寒さを我慢する」とか「設備の維持にお金がかかる」どころじゃない、大変な負担だと思いませんか?
だから、これから家を建てようというあなたに、これだけはよく分かってもらいたいです。家づくりで「安物買いの銭失い」は後悔しますよ、ってね。
明日はうちの会社のような工務店についてです。都合の悪いこともちゃんと言いますよ。どうぞ楽しみにしていてください。
(有)大桃工務店 代表取締役 棟梁 大桃実
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